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いちご同盟 日記

いちご同盟 日記

パート1*

じつは、あたし、小説もやってたんですよね。
漫画は由愛乃でやってたんですけど、
小説は「由希奈」でやってます^^
まあ、おもしろいかは謎ですが、
読んでみてくださいね^^
感想とかあると嬉しいです。

では、本編に入ります^^

===================

皆さんこんにちわ!!

あたし、朝奈 裕美[あさな ゆみ]です!!

そして、あたしはいじめられてます。

けどね、

ただのいじめられっこじゃあないよ?

あたしは、

いじめられっ子演じてるのw

あ-あ、今日も上履きがない。

昨日、ダミー置いててよかった-。

本当の上履きは持って帰ってたんだよね。

で?あたしの、上履きはっと…

あったあった。

今日は、溝に捨ててあるし…

こんなやり方、今時はやらないんですけど。

まあ、いっか。見つけやすいし-(ワラ

でも、溝に水が入ってたせいで

ぬれてる-。

今日持ってきたの履くと怪しまれるから、

このぬれた奴はくか。

仕方ない。

…気持ちわる…

靴下まで浸透しちゃったよ。

まあ、いっか。

さて、教室いきますか。

騒がしい戦場へ。

来たよきたきた。

佐野中学校 1年C級の教室が。

あたしは、ドアに手をかけて

いかにも恐れながらのように

弱弱しくあけた。

あたしを見た瞬間みんなうるさくなる。

「来た来た!!キモイのが。」

「空気汚れるんですけど?」

「まじ。こないでよ。」

「帰れよ-!!そのツラ見せんじゃねぇよ!!」

…ヒドイ言いようですねぇ。

あたしの本性も知らない輩が…
まあ、知らないのも仕方ないね。

今のあたしの姿は、

前髪がほとんど目の下。

かなり、でかい老眼鏡みたいなめがね。

もちろん、ダテメガネだけど。

スカートは、ひざ下20cm以上。

髪の毛はわざとボサボサにして

顔も隠れてる。

ホント、この髪の毛は時間かかったの。

前髪とか!!

このボサボサも毎朝ボリューム出るように

頑張ってセットしてるんだからさあ…

あたしの家庭はいわば転勤家族。

もう、一年に何回も転校しなくちゃならない。

最初は友達と離れるのがいやでいやで

転校するのが大嫌いだったんだけど、

今じゃ、すごい楽しみなの。

なぜならね、

あたし、学校かわるたびに

性格変えてるからw

一つ前の学校は

学校一のマドンナに選ばれるほど

頑張って性格もかわいくした

も一つ前の学校では、

超天才の優秀ちゃんw

性格よく演じるの大変だった-

で、その前は

かなりの不良少女。先生も困ってたなあ。

その前は、

誰も逆らわないイジメのリーダー。

ホント、皆あたしの指示に従うんだもん。

ほんと、おもしろかった-。

えっと、もっと前は-…

もう、忘れちゃった。

で、今は、超地味で見た目最悪の

女子中学生。

ここまで化けられる中学一年生きっと

あたしぐらいだろうなあ♪

で、あたしは運がいいコトに

顔も美人だし

勉強とかもう大好きだし

運動超得意だし

ピアノだって弾ける。

あたしにできないことなんて

ないの。

だから、あたしは何にもこわコトなんてない。

どっちにしろ、またもうすぐ転校するんだ。

いじめられっ子だってすぐ

終わる。

あたしの本性は皆にバラしてはいけない。

これが、あたしが決めたあたしへの

ルール。

だって、バレたら、おもしろくないじゃん?

だから、ね。

 
 
 
話が長くなったけど…

あたしは自分の机のとこに行ってみた。

わお!!ビックリ!!

なんか、書いてあるよ-!!

何々??

「消えろブ ス」

あ、そう。

あたし、別にブスじゃねえよ。うん。

「キ モイ」

あ、そう。

確かに。だって、キ モく演じてるもん。

「来るな」

あ、そう。

だって来ないと欠席日数増えちゃうもん。

「死 ね」

あ、そう。

死んだら、もったないないもん。


…皆労力もったいないとか

思わないのかね-…やってられないねえ。

でも、あたしはいじめられっ子。

ここは、そんな演技しなくちゃねぇ。

あたしは、涙を流しながら

そのラクガキを消した。

「あはは!!こいつ、ないてやがる-!!」

「まじ!!き もい-。じゃあ、くんなよ!!」

「帰れよ!!」


…ああ。うぜ え。黙れよ。

誰が帰れってか。

お前らが帰れっつの。

全部こっちの台詞じゃ!!

お前らは、そんなにかっこよくてかわいいんか?!

あたしはそうは思わないけどね。

みんな、自身あるんだろうねえ。

まあ、あたしも人のことは言えないか♪

あたしがクラスのバカ共になんか

罵声浴びさせられてる間に、

チャイムがなった。

それと同時にドアが開き、

先生が入ってきた。

あたしの机はまだ字が残っていて、

まだ消すのに時間がかかりそうだ。

この時間の授業は国語で、

すごく綺麗な女の白石綾子先生。

すごく責任感が強いらしい。

ふいに白石先生がこっちをちらっと

見て言った。

「ちょっとあの子の机にラクガキしたの誰?!」

一瞬にして全員の視線があたしに集中した。

おいおいおいおいおい!!

余計なトコに突っ込んでくるんじゃねえよ!!

またあの喋り方で喋らなくちゃならないだろ!!

まあ、いっか。簡単だ。

もう悲しいぐらいに慣れた。

「…いえ…あたしの趣味です…。

 …家でのストレスが…溜まったので…」

そう、あたしは言った。

白石先生はすこし寂しそうに

「…そう。」と呟いた。

「…じゃあ、授業始めます。」

そう言ってあたしを見ていた奴らは

ぱっと皆前を向いて、

教科書を開きだした。

あーあ、本当はガツンと「あいつらがやったんです」

ってでかい声で言いたいけど。

それは、この学校での朝奈裕美じゃないからな。

あたしのルールに反することになっちゃうんだよな。

あ-。地味で暗い性格になれば楽ちんって思ったけど、

逆に神経使わなくちゃいけないな。

まあ、いい経験だよきっと。これも。

うん。

「今日は、10月19日だから-…
 
 19番の朝奈さん読んで。」

「はい」

皆があたしを見てくすくす笑っていた。

あたしは、その意味が分かっていた。

あたしの教科書にはラクガキだらけだったからだ。

きっと奴らはあたしの『読めません』って

いう言葉を期待してる。

でも、そういうわけにはいかないんだな。

だって、言えば、

白石先生のことだ。

絶対、この教科書を見に来る。

その時の言い訳なんて考えてねえ。

だから、あたしは、教科書を読むことにした。

「昔、竹取の翁というものありけり-…」

から、先生の指示するところまで

スラスラ読み上げた。

奴ら全員目を丸くして驚いていた。

それもそのはず。

今、あたしが読んだページは

他のページより重点的にラクガキされていて、

読めるもんじゃなかったからだ。

実際、あたしにもなんて書いてあるのか

分からない。

でも、もう、既にあたしは、

そのページの文全部覚えていたから。

皆、あたしが頭いいの、知らないからね。

文を覚えるぐらい簡単すぎるのよっっ!

…計算ミスでしょ?

今日やるとこなんて予習済み。

だってあたしのうちには、

教科書一式が別にあるから。

あたしには、お姉ちゃんがいて。

おねえちゃんは、私立の中学で

転校するのが嫌だからって、

おばあちゃんちにいるの。

だから、今一緒に暮らしていない。

だから、中1の教科書を一式借りておいた。

ちゃんと、教科書にラクガキされることは

想定済みだったからねw

だから、予習は簡単。

次やると思われるところの教科書文を

ちゃんと覚えるだけ。

そして、長かった一日が

いじめられながらもやっと

終わった。

あたしは、一番最初に教室を出る。

学校にいる時間はすごく勿体無い。

早歩きで家に戻る。

あたしの家は、駅前の大きなアパート。

あたしのお父さんは、

全国に支店を持つ大きな会社委員。

しかも、東京にある本店の社長に

すごく気に入られてるらしい。

で、その支店に飛び移っていろいろ

仕事の支持をする結構上の位の仕事を

やっているらしい。

で、いっつも転校が続く。

お父さんも面倒な仕事をしてたもんだな。

まあ、そんな話どうでもいいけど。

そういえば、最近思うんだけど…

前もこの辺に住んでたがするんだけどな。

この辺の景色を前も見たことあるような…。

まあ、いいや。曖昧な記憶だし…

あたしは、アパートの玄関で、

前髪を、ピンで止めた。

そして、ボサボサの髪の毛を後ろで結んだ。

そうでもしないと、もしご近所さんに

見られたとき、ひかれそうだし。

それから、自分の部屋の階まで

エレベーターで行った。

304号室のあたしのうち。

ドアを開けながら「ただいま」と

あたしは、呟いた。

すると中から「おかえり」と

お母さんの声がした。

お母さんはあたしが、

学校によって性格を変えてることを

知らない。

「今日はどうだったの?」

お母さんはドアの向こうの部屋から

言った。

「ん-。相変わらずだよ。」

「そう。おやつあるから、手あらってらっしゃい」

とお母さんが言った。

「はあい。」

と言ってあたしは、洗面所に言った。

性格を変えていることはお母さんには

秘密事項。

言おうかとも思ったけど、やめた。

言うのが恥ずかしかったのもあるし、

なんとなく心配されそうで嫌だった。

止められたら、それはそれでいや。

あたしは、洗面所で

ボサボサの髪をアイロンで直した。

いつもすごく手間がかかる。

お母さんは朝早くから仕事に行って

昼には帰ってくる。

そして、夕方から

別のところでパートをして

夜の10時に帰ってくる。

だから、あたしは朝ゆっくり

変身することができる。

ヘアアイロンで頑固に

伸ばし続けてやっと髪の毛が

ストレートに戻った。

めがねもとって鞄の中にしまった。

そして、お母さんのいるリビングの

ドアを開けた。

「お母さん、そろそろ仕事よね?」

とあたしが聞いた。

「あ、そうね。じゃあ、そこにあるケーキ

 食べなさいね」

「うん。ありがとう」

そう言ってお母さんがバタバタ

走って玄関から出て行った。

「ふう。」

ため息をつきながら

あたしはケーキを食べた。

「あ-。今日、なんかやる気しねえ」

そう呟いてあたしは立ち上がった。

そして自分の部屋でいそいそと

服に着替えて、

髪の毛もセットした。

今は、5時。

もうあと2時間して暗くなったら、

外で遊んでこよう。

明るいうちは、中学の部活動生が

通ったりして、見たくない顔を

学校以外でも見なくちゃいけなくなるから。

そう言って、あたしは

そのまま自分のベットに倒れた。

いつの間にか、

あたしは眠っていた。

起きたら、あたりは部屋はすごく暗くなっていた。

あたしは、よいしょっと

ベットから起き上がった。

部屋のカーテンを全部閉めて、

鞄に財布だけをつっこんで

あたしは、玄関から外に出て

がちゃっと鍵をしめた。

アパートのすぐ目の前にある

駅は会社帰りのサラリーマンや

路上ライブをやってる高校生で

いっぱいだった。

お金はいっぱい持ってるけど、

店に行く気にもならなくて

駅前の噴水の横にあるベンチに座って

夜空を眺めた。

その時だった。

「朝奈?」

と誰かがあたしを呼んだ。

あたしの思考回路が一瞬停止した。

今通ってる奴らにはあたしの顔は

一回も見られたことない。

前髪で顔の半分は隠れてるから。

今のアタシは、めがねもしてないし

前髪は上の方で結んでるし…

なのに、なんで?

あたしの名前を知ってる人が…?

あたしは恐る恐る前を見た。

そこにいたのは、

あたしと同じぐらいの年の

男の子。

制服を着ていて、年上の不良たちっぽい人

と一緒にいた。

「あ!!やっぱ朝奈じゃん!!朝奈裕美!!」

…誰?

…なぁんであたしの名前知ってんだよ…。

「誰よ、あんた」

「覚えてねえのかよ??俺だよ、俺。
 佐伯大輔。えっと、6年の一学期にお前に一発で
 ヤラレタ!!覚えてないの?」

…佐伯…大輔?

…ああ…

あの…あたしが一発でやっちゃった奴か。

やっぱそうだったんだ。

前ここへん来たことがあると思ってたら、

勘違いじゃなかったか。

小6の一学期にあたしは、

今住んでるところから、二駅行ったところに

住んでいた。

「で、あんた、何でここにいるのよ。」

「ちょっと、先輩らと遊んでるの。小学校のときから
 仲だからさw
 で、お前こそなんでここいんの?」

「今、この辺住んでるの」

「そうか。そいや、お前ンち転勤多いんだっけ??
 この辺から言うと、佐野中か?」

「…まあ」

あたしは曖昧に答えた。

もしも、コイツが遊び心でうちの中学来ちゃったら、

正体バレちゃうじゃん?

そんなコト考えてたら、

佐伯と一緒にいた先輩らしき人が

「何だよ、佐伯。こんな可愛い子と友達かよ?
 
 しかも、お前この子に負けたって?
 
 珍しいな。お前強いのに」

とひやかしまじりに言った。
そうだ。

確かに、コイツは強かった。

こいつのいた学校にいた頃は

あたしのキャラは「男勝り」だった。

今までで、一番楽にこなせたキャラ。

で、転校初日に佐伯が、

「てめえ、偉そうにしてんじゃねえ」

とか言ってきたから、

「うざいんですけど、耳障り」

って言ったら、殴りかかってきやがった。

その瞬間にあたしは、佐伯の腹に一撃パンチ。

佐伯はそのまま倒れた。

…けど、奴はそれでも起き上がってきて

あたしにまた殴りかかってきやがって…

すごい、大喧嘩になっちゃって…

担任の先生が止めに来たっけ…。

悔しかったから、あたし最後に

思いっきり佐伯の顔にパンチくらわしたんだよな。

そしたら、そのまま倒れて。

あたしの勝ちって結果になったんだったなあ。

まあ、お互いヒドイ顔になっちゃってたけど。

けど、男子でもあそこまであたしとやりあえたのは

佐伯ぐらいだと思う。

あたしは、何人もの不良たちと戦ってきたけど、

やっぱりそう思う。

で、いつの間にか気の合う

友達になって。

けど、その友情もあたしが転校したことで

終わっちゃったけど。

あたしが思い出にふけているときに

佐伯をからかっていた先輩らしき人が言った。

「おい、大輔。そろそろ、行かないと」

「あ、そうだな。…じゃあな!!朝奈!!」

そういって佐伯は、あたしのもとを去っていった。

先輩たちと楽しそうに話す佐伯を見て、

あたしはすごく懐かしく思えた。

今あたしには、あんなコトできる友達いないから。

まあ、「キャラチェン」はあたしが決めた道だから

仕方ないんだけど。

このとき、ちょっとだけ、

自分のしていることを後悔した。

まあ、やめる気はないけど。

そんなコト考えながら、

あたしは、人で賑わう

駅前の道を一人でとぼとぼ家の方面へ

歩いていった。

―――――――――

そして、また朝が来る。

あたしが起きた頃には、お母さんはとっくに

仕事に行っていた。

あたしは、いそいそと

洗面所にいき、アイロンで頑張って

髪にボリュームを出した。

めがねをかけ、

変身終了。

朝食を食べて、あたしは、外に出た。

そして、ガチャッと鍵を閉めた。

今日は何をされてるのか、

何をされるのか。

そんなコトを考えながら学校への道のりを歩いた。

別に苦痛じゃない。

どんなことをされるのか、

最近ではわくわくしてる。

あたしは、いじめっ子だった経験が

あるから 大体何を次されるかは

想定済みだったりする。

学校についてすぐ靴箱に行く。



靴箱の中はゴミだらけ。

…ああ、汚い。

ゴミ箱からゴミあさったな…きっと(ワラ

…今日は、ちゃんと靴箱のなかに

上履きがあった。

…てことは、きっと

あたしは上履きを靴箱から引っ張り出して

逆さまにした。

中から、金色に光る物質が音を立てて

落ちていった。

 
 
 
画鋲だ。

 
 
 
…アホめ。

レベルが低いンだよ。

もっと、頭の回転よくならないのかね。

あきれたものだ。

靴箱にはゴミ箱から

あせって取ってきたようなものの他に、

あたしへの中傷が書かれて

ぐちゃぐちゃにされた紙がいくつも

入っていた。

あたしは、書いた奴がかわいそうだから

一枚一枚開いて読んでやる事にした。

…さーて何々?

あたしはぐちゃぐちゃになった紙を

一枚一枚綺麗に広げていった。

「消えろ」

…無茶言うなよ。

つーか、ソレこっちの台詞なんすけど。

「うぜぇんだよ!!くんじゃねぇよ!!」

…うぜぇって…

あたし、確かクラスで一番静かだぞ??

うぜぇのはテメェらじゃねぇか。

学校に来るのはあたしの自由だろうが。

「キモイんだよ!!」

…お前らは、キモくないのかなあ?

あたしが見るかぎりテメェらだって、

キモいけどね?

「死 ねよ」

好きだな-。あいつら。

この言葉。

お前らの言うこと聞く筋合いねぇよ。

「目障りなんだよ」

それはそれは、すいませんねぇ。



 

とかなんとか、結局あとは同じようなコトが

書かれてあった。

だから、何度も言ってんじゃん?

レベル低すぎなんだよ。

でも、もう限界だ。

いくら、自分の始めたことだからって。

いじめられる奴の気持ちって

こんなもんなんかな。

つか、やり返せないのが悔しい。

やり返せば、きっとあたしは奴らに勝てる。

けど、そうすれば、

あたしは、あたしは

自分のプライドを傷つけることになる。

我慢だ。

我慢するんだ。

我慢だよ、裕美!!

きっと、あともう少しで終わるんだ。

あと少しで、またきっと転校することになるんだか

ら!!

きっと、そうだ。

だって、いつもそうだもん。

ここにきて、もうすぐで一ヶ月になる。

これでも、長いぐらいだ。

あと少し。

やっぱ、地味目な女子高生とか

無理。

疲れる。

ストレス溜まる。

ああ、やり返したい。

…やめだやめだ。

こんな、あまったるい考えなんか

捨てなくちゃ。

あたしは、今をこの地味ないじめられっこな

朝奈裕美で過ごすの!!

自分で決めたんだ!!

今までやりこなしてきたんだ!!

こんなとこで、壊しはしないさ。

そしてあたしは、こう呟いた。

「さあ、行こうか。戦場に。」

やってやろうじゃん!!

絶対、自分の目標まげはしないさ。



…そう思ってたんだ。

できると思ってた。

いつものように、

靴箱からあたしは

「地味でキモイ」朝奈裕美に変わった。

歩くときは常に

下を見ながら。

猫背気味で。

こんな格好で、こんな姿勢だと

廊下で会う人の多くがこっちを見る。

よく聞こえる

「キモ」「なにコイツ」

などの中傷。

もう、慣れたさ。

自分でいうのもなんだけど、

この屈辱に耐え続けているあたしは

すごいと思う。

NO.82 由希奈 01/25(木) 17:58 IP:210.153.171.49 削除依頼
今日も来た。

1年C級のドアの前。

ここをあければ、この先は戦場。

戦いの地だ。

まあ、戦いっつってもすごいレベルの低い

ものだけど。

…よし。

あたしは、ドアに手をかけ

いつものように弱弱しく開けた。

その瞬間

バシャアアアアアアアアア

と勢いよく水が降ってきた。

違う。

上からかけられたのか。

ついに水掛作戦か…。

なんか、雑巾一緒に落ちてきたし…

この水雑巾くさいし。

昨日の掃除のときの水捨てずに残してたのか。

それはそれは、お疲れ様でした。

余計な労力ありがとう(笑

その直後に浴びせられる

数多くの罵声。

「うっわ!!汚い!!くさいんですけど!!」

…そりゃそうだよな。だって雑巾だし。

「くる途中にドブにでも落ちちゃったのかなあ?」

…ドブに落ちるってどんだけのア ホだよ…

「ブサイクが今日はもっと倍増してる!!」

…また出たよ「ブサイク」

 てめぇはかわいいのか…


そしてアル女子が大きな声で言った。

「まじ、目障り。

 つうか、キモイし。迷惑なんですけど。

 帰ってくんない?」

耳に残るような甲高い笑い声まじりに言った。

こいつは、高橋 美佳。

あたしが睨むにたぶん女子側のイジメの司令塔。

そして続いて

「まじ死 ね!!てめぇみたいなのがいるから、

 現代の日本は環境が悪くなるんだよ!!

 その償いに死 ねよ!!この公共公害がよ!!」

こんな暴言を大声で怒鳴ったのは

広瀬 裕太。 コイツは学年一の不良。

先生も困り果ててる。

自分の言うことを聞かないやつは

暴力ふるって病院送り。

2人の発言を聞いたクラスの奴らが一斉に

あたしに向かって「帰れ」「死 ね」を

連呼してきた。

…ホント心から思う。

カワイそうな奴らめ。

…あたしが本気出したら

お前ら即死ですよ?分かってるのかなあ?

いいご身分ですこと。

まあ、こいつら見てるとホント笑えて来る。

バカ以外の何ものでもない。

仕返しできないのがすごくすごく悔しいけど、

おもしろいもの見れるからいっかな。

転校が決まるまでのあと少し。

もうちょっとこいつらを観察してやろうじゃん。

…その時、あたしは気づいた。

クラスの奴ら全員があたしにあの二語を

連呼してるとき、たった一人、言わずにいた

女子がいた。

そのこは、あたしを心配するかのように見つめていた

…。

確か、その女子の名前は

笹岡 亜美(ささおか あみ)

クラス一頭がよく、

まじめな子。

あくまであたしの推測。

まあ、クラス一頭いいっていっても

あたしを除いての話だけどねw

 

そんなコト考えてる最中も

奴らの「帰れ」「死 ね」コールは続く。

さあ、こういうとき、

本物のいじめられっ子はどうする?

帰っちゃった方がいいのか?

でも、帰らない方がこいつらは、

もっとエスカレートしたいじめしてくるだろう。

コイツらがこれから

どんな馬鹿げたことしてくるか

楽しみだから、あたしは帰らないことにした。

そして

あたしは下を向いたまま自分の机まで

歩いていった。

「だから、早く帰れよ!!」

そう誰かが叫んだ。

知るか。

あたしにもちゃんとした選択の権利あるだろ。

そう思いつつ、

あたしは頑張ってずっと演技を続けた。

絶対前を向かず、うつむいたままにしておいた。

それでも、奴らは黙ろうとしない。

うるさいなあ。ホント。

頭悪いんだから。

バカはバカなりにさあ、

余計なことしてないで、

勉強でもしたらどうなのかなあ(笑

そんなこと考えてたら、

雑巾があちこちから飛んでくるくる。

投げる前に「死 ね」とか「ウ ザイ」

とか言いながら。

あ-、もう、全身雑巾くさい…。

帰ったら、風呂入らなきゃな。

そんなこんなしてたら、

一時間目が始まった。

HRは、先生が出張だとかでやらなかった。

一時間目は数学。

数学は50歳ぐらいと見られる

気の弱そうなおじさん。

だから、あたしの濡れてるのみても

何にも言わない。

一体、この学校の教育方針は

どうなってんだかね(笑

まあ、わざわざ

「その格好はどうしたんだ」って

聞かれても困るんけど。


数学教師の名前は大林 勉。

大林は

あたしの姿もお構いなしに

授業を始めた。

黒板に書かれるたくさんの

公式や数式は

とっくに予習済みで

あたしにははっきりいって

習う必要も無いものだった。

一応授業受ける態度は

とらなきゃいけないと考えて

教科書を開く。

…やっぱりね。

見事にラクガキだらけ。

まあ、いいけど。

その教科書を見つめていたら

「じゃあ、教科書65ページの問題を-…」

と大林が言った。

そして、少し間が相手から

「朝奈。解いてみろ」

と続けた。

…おい。

なんで、こんなずぶぬれで

どう考えてもおかしい状況の

生徒をあえて当てるかな。

まあ、他の生徒は

大林が怒らないことをいいことに

反抗ばっかで

授業の状態じゃないけどよ。

確かに、やつらに当てれば

「うるせえ、黙れ。大林がよ」

などと怒鳴られるだけだ。

…つか、それを恐れて

逃げる大林も大林だけどよ。

それでも教師かよ。ほんとに

このページは昨日やったとこだから

答え覚えてるけど…

いっか。

どうせ、こいつは

何にもかかわろうとしないんだ。

白石先生のときみたいに

気をつける必要ないんだし。

「できません」

あたしは一言そういった。

あえて、分かりません、とは

言わなかった。

そしたら、大林は

「こんなのもできないのか」

そうたった一言言って

自分でその問題の解説を始めた。

…お前こそ、生徒に立ち向かえねぇくせによ。

 うざ いんだよ。

その直後に始まった

あたしへの中傷。

誰か一人が

「こんな問題もできないなんて、馬鹿じゃねえの-

 ?!」

と叫べば、

クラスの奴らは次々と

騒ぎ出す。

あたしに向かってクラスの奴らは

「バカ」「ボケ」を連発した。

…何いってんの??

あたし、たぶんねあんたたちより

はるかに頭いいよ??

あたしは、心の中で

こいつらのあまりの馬鹿さに

思いっきり笑ってやった。


そんなクラスの様子をみても

大林は止めようとしない。

ただこの状況にビクビクしてるだけ。

馬鹿じゃん?

自分より30歳以上離れた

ガキに注意もできないなんて。

まじ、うぜぇ。

大林もこいつらも。

いじめで自分を守って。

一人じゃなんにもできないんじゃん?

馬鹿どもめ。

まあ、もう、慣れてるけど。

自分もイジメ経験あるから

このパターンは慣れてる。

ま、仕方ないか。

どうせ、このクラスはレベル低いんだから。

一般常識的な型にはまった

イジメしかきっとできないんだろうな。

見飽きたコトばっか。

ホント、典型的すぎ。

同じことを長い間続ける。

ちゃっちゃと新しいイジメ法

見つけようよ-笑


大体全員でやる

中傷コール。

まあ、やるのは構わないけどさ。

いい加減飽きようよ。

労力の無駄。

いくら同じコトしたって、

あたしは折れないよ。

不登校とか絶対なんないし?

やるだけ無駄。

教科書のラクガキも

日に日に増えてる。

ホント、楽しいのかね。

一回ラクガキした教科書に次の日も

またラクガキとか。

さっきも言ったけど、

そろそろ新しいイジメ方法見つけたほうがよくない?

あたしも、飽きた。

授業が授業として成り立たないうちに

授業終了を告げるチャイムがなった。

大林はいそいそと

1年C組の教室をあとにした。

 
 
 
…また今日もイジメられて終わった。

帰ろう。

学校にいる時間勿体無いし。

…と思ったのに。

「ちょっと、朝奈さん?」

と呼ばれた。

この声は…


あたしの目の前にいたのは

高橋 美佳。

前も言ったけど、

女子のイジメ司令塔。

コイツの言うことにはむかう奴はいない。

…なんだよ。

「そんなビビんないでよ。ちょっと来てよ」

…集団リンチかよ。

面倒。

けど、いじめられっことして

もちろんこれくらいの想定はしていた。

仕方ない。

ついていこう。

あたしは、

小さく「はい」と返事して

高橋のあとをついていった


連れて行かれたのは

リンチ定番の体育館裏。

そこに付くと

高橋とその仲間たちは

ぴたっと止まって

あたしの方を向いた。

「ねえ」

高橋が口を開く。

そして

「あんたうざいのよッ」

と言いながらあたしの腹を殴ってきた。

…痛くない。

あたしは、不良を演じた女だよ??

こんな弱い女子のパンチなんか

痛くもないよ。

でも、倒れた。

…倒れる「芝居」を演じた。

ホント、感謝して欲しいな。

ここまで、

あんたたちにあたしは。

優越感味あわせてやってんだからさ?


あたしが、

倒れたのをいいことに

高橋たちは

「つか、キモイし-」

「まじ、姿見せないでくれない?」

「ちょ-目障り」

とかなんとか言いながら

あたしを蹴りたい放題してきやがった。

あたしは、

一応痛そうにしていた。

まあ、痛くないわけ無いけど。

こんな痛み余裕。

あたし、不良とまじで喧嘩したことあるし。

本物のパンチくらったことあるし。

しばらくして、

高橋たちは飽きたのか

あたしに向かって「チクんじゃねえぞ?」

と言い残して

笑いながらその場を立ち去った。

倒れているあたしを残して。

あたしは、

あいつらの足跡が聞こえなくなったことを

確認して

よいしょっと起き上がった。

そして、

誰もいない教室に鞄を取りにいった。

…違う。

人がいた。

一人だけ。

暗くなりつつある

教室にたった一人残ってた。

そのこはあたしを見ていった。

「朝奈さん!!大丈夫?」

その声は馬鹿にしてる声じゃなかった。

ホントに心配してる声だった。

あたしに声をかけてきたのは

あの笹岡亜美だった。

「…痛かったでしょう?助けに行けなくてごめんね」

そのこはあたしに

そういった。

あたしは

「…大丈夫」

とだけ言って教室を出た。

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